インプラント治療
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- STEP 1精密検査と診断・治療計画の立案
- まず、患者様のお悩みやご希望を詳しくお伺いします。
その後、口腔内診査、レントゲン撮影に加え、歯科用CTによる3D画像診断を行い、顎の骨の量や質、神経や血管の位置などを詳細に把握します。
この情報を基に、インプラントの埋入位置、本数、治療期間、費用などを盛り込んだ、患者様一人ひとりに最適な治療計画を立案します。
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- STEP 2術前処置(必要な場合)
- インプラントを埋め込むための骨の量が不足している場合や、歯周病がある場合は、まずその治療を行います。
骨造成やサイナスリフトなどの外科的処置が必要な場合は、インプラント埋入に先立ってこれらの処置を行います。
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- STEP 3インプラント埋入手術
- 局所麻酔下で、顎の骨にインプラント体を埋め込む手術を行います。
手術時間は通常、1本あたり数十分から1時間程度です。手術中は痛みを感じることはほとんどありません。
当院では、患者様の負担を最小限に抑えるため、最新の設備と技術を用いて安全な手術を行います。
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- STEP 4 治癒期間(オッセオインテグレーション)
- インプラント体が顎の骨と結合するまでの期間です。
一般的に、上顎で約4~6ヶ月、下顎で約2~3ヶ月程度かかります。
この期間は、インプラント体と骨がしっかりと結合し、強固な土台が作られるために非常に重要です。
この間、仮歯を使用して日常生活を送ることも可能です。
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- STEP 5アバットメントの装着(二次手術:必要な場合)
- インプラント体が骨と結合した後、インプラント体と人工歯を連結するためのアバットメントを装着します。
一部のインプラントシステムでは、このアバットメント装着のために簡単な二次手術が必要になる場合があります。
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- STEP 6人工歯(上部構造)の製作・装着
- アバットメントが装着された後、型取りを行い、患者様の噛み合わせや周囲の歯の色、形に合わせて人工歯を製作します。
完成した人工歯をアバットメントに装着し、噛み合わせの最終調整を行います。
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- STEP 7メインテナンス
- インプラント治療は、人工歯を装着して終わりではありません。
インプラントを長持ちさせるためには、ご自身の歯と同様に、毎日の丁寧なブラッシングと、定期的な歯科医院でのメインテナンスが不可欠です。
インプラント周囲炎(インプラントの歯周病)を予防するためにも、定期的なクリーニングとチェックは非常に重要です。

インプラント治療とは、「第二の永久歯」とも呼ばれ、虫歯や歯周病、事故などによって歯を失ってしまった部分に、人工の歯の根(インプラント体)を顎の骨に埋め込み、その上に人工の歯を装着することで、失われた歯の機能と見た目を回復させる治療法です。
インプラント体は、生体親和性の高いチタン製のネジのような形をしており、顎の骨と結合することで、まるでご自身の歯の根のようにしっかりと固定されます。
この強固な土台があることで、入れ歯のようにずれたり、ブリッジのように隣の健康な歯を削ったりすることなく、ご自身の歯とほぼ同じ感覚で食事を楽しんだり、自然な発音で会話をしたりすることが可能になります。
インプラント治療の適応:治療を受けることができる方

インプラント治療は、誰でも受けられるわけではありません。
安全かつ成功率の高い治療を行うためには、いくつかの条件を満たしている必要があります。
歯を失ってしまった方
虫歯や歯周病、外傷などにより、歯を失ってしまった方が主な対象となります。
顎の骨の量と質が十分な方
インプラント体を支えるための顎の骨の量と密度が十分にあることが重要です。
骨の量が不足している場合は、後述する骨造成などの処置が必要となることがあります。
全身の健康状態が良好な方
重度の糖尿病や心臓病、骨粗しょう症などで治療中の場合、インプラント治療が難しいことがあります。
喫煙者の方も、治癒の遅延やインプラントの失敗リスクが高まるため、禁煙が強く推奨されます。
口腔衛生状態が良い方
インプラントを長持ちさせるためには、毎日の丁寧なセルフケアと定期的な歯科医院でのメインテナンスが不可欠です。
口腔衛生状態が悪いと、インプラント周囲炎のリスクが高まります。
治療のメリットとデメリットを理解し、協力的な方
インプラント治療は外科手術を伴い、治療期間も比較的長くなることがあります。
患者様ご自身が治療内容を十分に理解し、歯科医師の指示に従っていただくことが成功への鍵となります。
これらの条件を満たしているか否かは、精密な検査と診断によって判断されます。
ご自身の状態がインプラント治療に適しているかどうか、まずはご相談ください。
インプラント治療における3つの重要なポイント:信頼できる歯科医院選びのために
インプラント治療は、外科手術を伴う高度な治療です。
そのため、歯科医院を選ぶ際には、以下の3つのポイントを特に重視していただくことをお勧めします。
これらのポイントは、治療の安全性、成功率、そして長期的な安定性に大きく影響します。
1. 本当に熟練した技術を習得しているか?:歯科医師の経験と知識

インプラント治療の成功は、何よりも歯科医師の「熟練した技術と豊富な経験」に大きく左右されます。
インプラント体を正確な位置と角度で顎の骨に埋め込むためには、顎の骨の構造、神経や血管の位置、そして周囲の組織との関係性を熟知している必要があります。
豊富な症例数と実績
多くのインプラント治療経験を持つ歯科医師は、様々な症例に対応できる知識と技術を培っています。
過去の治療実績や成功率を確認することも重要です。
専門的な研修や資格
インプラント治療に関する専門的な研修を修了しているか、認定医や専門医などの資格を有しているかどうかも、歯科医師の専門性を判断する上で参考になります。
精密な診断と治療計画
事前のCT撮影による3D画像解析や、コンピューターガイドシステムなどを用いた精密な診断と、患者様一人ひとりに合わせた綿密な治療計画を立てているかどうかも重要です。
これにより、安全かつ確実な手術が可能になります。
緊急時の対応力
外科手術である以上、予期せぬ事態が発生する可能性もゼロではありません。
緊急時の対応能力や、連携している医療機関があるかどうかも確認しておくと安心です。
2. 再生医療ができるか?:骨造成・軟組織造成の重要性

インプラントを埋め込むための顎の骨の量や質が不足している場合、そのままではインプラント治療を行うことができません。
そのような場合、再生医療の技術を用いて、骨や歯茎の量を増やす処置(骨造成や軟組織造成)が必要となります。
これらの再生医療の技術を持っている歯科医院であれば、より幅広い症例に対応でき、インプラント治療の選択肢が広がります。
骨造成(GBRなど)
歯を失って時間が経つと、顎の骨は徐々に吸収されて減ってしまいます。
骨造成は、人工骨や自家骨(患者様ご自身の骨)などを用いて、インプラントを埋入するために必要な骨の量を増やす手術です。
この技術があることで、これまでインプラント治療が難しかった方でも、治療が可能になるケースがあります。
サイナスリフト・ソケットリフト
上顎の奥歯の骨が薄い場合に、上顎洞(鼻の横にある空洞)の底を挙上して骨を増やす手術です。
軟組織造成(遊離歯肉移植術、結合組織移植術など)
インプラント周囲の歯茎の量が不足している場合や、インプラントを長持ちさせるために、歯茎の厚みや幅を増やす処置です。
これにより、インプラント周囲炎のリスクを軽減し、審美性の向上にも寄与します。
3. メーカーはどこか?:インプラント体の品質と安全性

インプラント体は、世界中で様々なメーカーから供給されています。
使用するインプラント体のメーカーは、その品質、安全性、そして長期的な予後に大きく影響します。
信頼性の高いメーカー
長い歴史を持ち、世界中で多くの実績があるメーカーのインプラント体は、信頼性が高いと言えます。
研究開発に力を入れ、品質管理を徹底しているメーカーを選ぶことが重要です。
豊富な臨床データ
多数の症例で良好な結果が報告されており、長期的な安定性を示す臨床データが豊富なメーカーの製品は、安心して使用できます。
チタンの純度と表面性状
インプラント体はチタン製ですが、その純度や表面の特殊加工によって骨との結合(オッセオインテグレーション)のしやすさが異なります。
高品質なインプラント体は、より早く、より強固に骨と結合します。
パーツの供給体制
万が一、インプラントの部品交換が必要になった場合でも、メーカーが安定して部品を供給してくれるかどうかも重要です。
当院では、国内外で高い評価と豊富な実績を持つ信頼性の高いインプラントメーカーの製品を使用しています。
これにより、患者様に安心して治療を受けていただき、インプラントを長期にわたって快適にご使用いただけるよう努めています。
インプラントで使用する材料の種類と特徴:チタンとジルコニア
インプラント治療で使用される主な材料は、インプラント体と人工歯(上部構造)に分けられます。
1. インプラント体(歯の根となる部分):チタン製

現在の主流は、純チタンまたはチタン合金です。
特徴
生体親和性が高い
チタンは骨との結合能力(オッセオインテグレーション)が非常に高く、アレルギー反応もほとんど起こさないため、生体材料として非常に優れています。
強度が高い
顎の骨の中で噛む力を支える土台となるため、十分な強度が必要です。
チタンは強度と軽量性を兼ね備えています。
安定性
一度骨と結合すれば、非常に安定性が高く、長期にわたって機能します。
2. 人工歯(上部構造):様々な素材から選択

インプラント体の上に装着される人工の歯の部分です。
下記の素材の中から、患者様の治療部位、噛み合わせ、審美性のご希望、ご予算などを考慮し、最適なものをご提案させていただきます。
セラミック(オールセラミック)

天然の歯と見分けがつかないほどの透明感と色調再現性があり、非常に審美性に優れています。
金属を一切使用しないため、金属アレルギーの心配がなく、歯茎が黒ずむこともありません。
耐久性も高く、変色しにくいです。
メリット
最高の審美性、金属アレルギーのリスクなし、変色しにくい。
デメリット
費用が高い、強い衝撃で割れる可能性がごく稀にある。
ジルコニアセラミック(ジルコニア冠)

ジルコニアは「白いダイヤモンド」と呼ばれるほど強度が高く、その上にセラミックを焼き付けて作られます。
強度と審美性を兼ね備えた素材です。
メリット
非常に高い強度、優れた審美性、金属アレルギーのリスクなし。
デメリット
費用が高い。
ハイブリッドセラミック

セラミックとレジン(プラスチック)を混ぜ合わせた素材です。
メリット
セラミックよりも費用を抑えられ、レジンよりも強度と審美性に優れています。
デメリット
オールセラミックに比べると審美性や耐久性が劣る、経年で多少変色することがある。
金合金(ゴールド)

柔軟性があり、噛み合う歯に優しい素材です。
適合性が良く、金属アレルギーのリスクも低いとされています。
メリット
適合性が良い、噛み合う歯に優しい。
デメリット
金色のため目立つ、費用が高い。
インプラントを受ける際の流れ
インプラント治療は、綿密な計画と複数のステップを経て行われます。
当院では、患者様が安心して治療を受けられるよう、各工程を丁寧に説明しながら進めてまいります。
インプラント術後の注意点:成功と長持ちのために
インプラント手術後の適切なケアは、治療の成功とインプラントの長期的な安定性にとって非常に重要です。
安静にする
手術当日は、激しい運動や飲酒、喫煙は控え、安静に過ごしましょう。
患部を清潔に保つ
歯科医師の指示に従い、処方されたうがい薬を使用するなどして、手術部位を清潔に保ちましょう。
食事に注意する
手術後しばらくは、硬いものや刺激の強い食べ物は避け、消化の良いものを摂取しましょう。
内服薬の服用
処方された痛み止めや抗生物質は、指示通りに服用しましょう。
定期的な検診とメインテナンス
術後も定期的に歯科医院を受診し、インプラントの状態や口腔内の健康状態をチェックしてもらいましょう。
インプラント周囲炎の早期発見と予防が、インプラントを長持ちさせる鍵となります。
適切なブラッシング指導を受け、プロフェッショナルなクリーニングを継続することが重要です。
インプラントのメリットとデメリット:治療選択のための情報提供
インプラント治療を検討する上で、そのメリットとデメリットを十分に理解しておくことが重要です。
インプラントのメリット
天然歯に近い噛み心地
顎の骨に直接固定されるため、ご自身の歯とほぼ同じような感覚でしっかりと噛むことができます。
これにより、食事の選択肢が広がり、食生活が豊かになります。
優れた審美性
人工歯の色や形を周囲の歯に合わせて作製できるため、見た目が非常に自然で、まるでご自身の歯のように美しい仕上がりになります。
人前で自信を持って笑うことができます。
他の歯への負担が少ない
ブリッジのように隣の健康な歯を削る必要がなく、入れ歯のようにバネをかけることによる負担もないため、残っているご自身の歯を健康に保つことができます。
高い安定性と耐久性
顎の骨と結合することで非常に安定し、適切なケアを行えば、長期間にわたって使用することが可能です。
発音の改善:歯がない部分にインプラントが入ることで、息漏れが解消され、発音の改善が期待できます。
顎の骨の維持
噛む力がインプラントを介して顎の骨に伝わるため、骨の吸収を抑え、顎の骨の健康を維持する効果が期待できます。
これは、入れ歯では得られない大きなメリットです。
インプラントのデメリット
外科手術が必要
インプラント体を顎の骨に埋め込むための外科手術が必要です。
そのため、全身疾患がある方や、外科手術に抵抗がある方には不向きな場合があります。
治療期間が長い
インプラント体が骨と結合するまでの期間(数ヶ月)が必要なため、治療完了までに時間がかかります。
費用が高額
インプラント治療は保険適用外の自由診療となるため、費用が高額になります。
しかし、長期的な視点で見れば、他の治療法に比べてコストパフォーマンスが高いと考えることもできます。
メインテナンスが不可欠
インプラント周囲炎のリスクがあるため、毎日の丁寧なセルフケアと、定期的な歯科医院での専門的なメインテナンスが不可欠です。
これを怠ると、インプラントが脱落する可能性があります。
骨の量が不足している場合は追加処置が必要
顎の骨の量や質が不足している場合は、骨造成などの追加手術が必要となり、治療期間がさらに長くなったり、費用が追加で発生したりすることがあります。
ごく稀に失敗する可能性
手術である以上、ごく稀に失敗する可能性もゼロではありません。
感染や神経損傷などの合併症のリスクも理解しておく必要があります。
インプラント治療概要
治療期間 |
6ヶ月~1年半 |
治療回数 |
23~29回 |
費用(※症状によって金額は変わります) |
1歯/補綴込 580,000円~670,000円(税別) |
インプラント治療は、失われた歯の機能と見た目を高いレベルで回復し、あなたの生活の質を大きく向上させる可能性を秘めた治療法です。ご自身の歯のように噛める喜び、人前で心置きなく笑える自信は、何物にも代えがたいものです。
しかし、インプラント治療は、外科手術を伴う高度な治療であり、歯科医師の熟練した技術、適切な診断、そして信頼できるインプラント体の選択が成功の鍵となります。また、術後の丁寧なケアと定期的なメインテナンスも、インプラントを長持ちさせるために不可欠です。
当院では、患者様一人ひとりの口腔内の状態を精密に診断し、最適な治療計画をご提案いたします。
インプラント治療に関するご質問やご不安な点がございましたら、どんな些細なことでもお気軽にご相談ください。
私たちは、皆様が再び豊かな食生活と自信に満ちた笑顔を取り戻せるよう、全力でサポートさせていただきます。