一般、小児歯科
一般歯科とは

一般歯科とは、むし歯治療、歯周病治療、義歯(入れ歯)の製作・調整、抜歯など、日常的に起こるお口のトラブルに対応する歯科診療の総称です。
特定の専門分野に特化せず、幅広いお口の症状に対応し、患者様のお口全体の健康維持を目的としています。
「歯が痛い」「冷たいものがしみる」「歯茎から血が出る」「詰め物が取れた」「入れ歯が合わない」など、お口に関する様々な症状に対応し、診断から治療、そして予防までを一貫して行います。
痛みがある場合には、まず痛みを抑える治療を行い、その後、根本的な原因を探り、最適な治療計画をご提案します。
当院の一般歯科では、患者様のお話を丁寧に伺い、口腔内の状態を詳しく診査した上で、分かりやすい説明を心がけております。
患者様ご自身が治療内容を十分に理解し、納得した上で治療を進められるよう、コミュニケーションを大切にしています。
小児歯科とは

小児歯科は、0歳のお子様から永久歯が生え揃う思春期頃までを対象とした歯科診療です。
単にむし歯を治療するだけでなく、お子様一人ひとりの成長段階に合わせた口腔ケアを行い、将来にわたる健全な歯並びと噛み合わせ、そして健やかな心身の成長をサポートすることを目的としています。
お子様の歯は、大人の歯に比べてむし歯になりやすく、進行も早いという特徴があります。
また、乳歯の虫歯を放置すると、永久歯の歯並びや顎の成長に悪影響を及ぼす可能性もあります。
小児歯科では、虫歯の予防、フッ素塗布、シーラント(奥歯の溝を埋める処置)、歯磨き指導、噛み合わせの管理、不正咬合の早期発見と相談など、多岐にわたるケアを提供します。
当院の小児歯科では、お子様が安心して治療を受けられるよう、恐怖心を取り除く工夫を凝らしています。
無理に治療を進めることはせず、お子様のペースに合わせて治療を進め、歯科医院が「怖い場所」ではなく「楽しい場所」と感じてもらえるよう努めています。
保護者の方々との連携も密に行い、ご家庭での口腔ケアについても丁寧にアドバイスさせていただきます。
むし歯の原因

「むし歯」は、多くの方が一度は経験する身近な病気ですが、その原因を正確に理解している方は少ないかもしれません。
むし歯は、単に歯を磨かないからできるという単純なものではなく、いくつかの要素が複雑に絡み合って発生します。
むし歯の主な原因は、お口の中に存在する細菌、特に「ミュータンス菌」と呼ばれる細菌です。
このミュータンス菌は、食べ物に含まれる糖分を栄養源として酸を作り出します。この酸が歯の表面にあるエナメル質や象牙質を溶かし、歯に穴を開けてしまう病気がむし歯です。
具体的には、以下の4つの要素が重なることでむしは発生すると考えられています。
細菌(ミュータンス菌など)
お口の中に常に存在する細菌です。
糖質(食べ物や飲み物)
ミュータンス菌が酸を作り出すための栄養源となるものです。特に砂糖を多く含む菓子や清涼飲料水は注意が必要です。
歯の質
歯の質が弱いと、酸によって溶かされやすくなります。生えたばかりの歯や、エナメル質が未熟な歯は特に虫歯になりやすい傾向があります。
時間
歯の表面にプラーク(歯垢)として付着した細菌が、糖質を摂取するたびに酸を産生し、その酸が歯に作用する時間が長いほど、むし歯になるリスクが高まります。
これらの要素が組み合わさることでむし歯は発生・進行します。
特に、間食が多い、甘いものを頻繁に摂取する、歯磨きが不十分でプラークが溜まっている、唾液の量が少ない、といった生活習慣はむし歯のリスクを著しく高めます。
むし歯を放置することのリスク

「痛くないから大丈夫」「忙しいから、もう少ししてから行こう」と、むし歯を放置していませんか?
むし歯は、一度できてしまうと自然に治ることはありません。
放置すればするほど進行し、最終的には歯を失うだけでなく、全身の健康にも悪影響を及ぼす可能性があります。
激しい痛みと生活への支障
むし歯が歯の神経(歯髄)にまで達すると、冷たいものや温かいものが強くしみたり、何もしていなくてもズキズキと激しい痛みが生じたりするようになります。
夜も眠れないほどの痛みに襲われることもあり、食事や仕事、学業など、日常生活に大きな支障をきたします。
歯を失うリスクの増大
むし歯がさらに進行し、歯の根まで破壊されてしまうと、歯を残すことが困難になり、抜歯せざるを得なくなります。
一度失われた歯は元に戻ることはなく、その後の治療としてブリッジ、入れ歯、インプラントといった選択肢を検討する必要があります。
口腔内全体への影響
むし歯を放置すると、その周りの歯にも虫歯が移ったり、噛み合わせが崩れたりすることがあります。
また、むし歯によってできた穴に食べ物が詰まりやすくなり、それが原因で歯周病のリスクも高まります。
全身の健康への影響
進行したむし歯や歯の根の先に膿が溜まると、その細菌や毒素が血管を通じて全身に広がり、様々な全身疾患を引き起こしたり、悪化させたりする可能性が指摘されています。
例えば、心臓病、糖尿病、関節リウマチ、腎臓病などとの関連が研究されています。
また、顔が腫れたり、発熱したりといった感染症の症状を引き起こすこともあります。
口臭の原因
むし歯の穴に食べかすが詰まったり、細菌が繁殖したりすることで、不快な口臭の原因となることがあります。
このように、むし歯は放置すればするほど、痛みが増すだけでなく、歯を失うリスクが高まり、さらには全身の健康にまで悪影響を及ぼす可能性があります。
痛みがない初期の段階で発見し、治療を受けることが、最も重要です。
むし歯の進行度
むし歯は、その進行度合いによって症状や治療方法が異なります。
進行度を理解することは、早期発見・早期治療の重要性を認識する上で役立ちます。
CO(シーオー):初期むし歯・要観察歯

歯の表面のエナメル質が、酸によってごくわずかに溶け始めている状態です。
まだ歯に穴は開いておらず、痛みやしみる症状もほとんどありません。
歯の表面が白っぽく濁って見えることもあります。
この段階であれば、削る治療は不要な場合がほとんどです。
フッ素塗布や、正しい歯磨き指導によって、歯の再石灰化(修復)を促し、進行を食い止めることができます。
C1:エナメル質のむし歯

歯の表面のエナメル質に小さな穴が開いたり、黒い点が見られたりする状態です。
まだ象牙質には達していないため、痛みやしみる症状はほとんどありません。
むし歯の部分を最小限に削り、レジン(歯科用プラスチック)を詰めて形を整える治療が一般的です。
比較的簡単な治療で済みます。
C2:象牙質の虫歯

むし歯がエナメル質の下にある象牙質にまで進行した状態です。
冷たいものがしみたり、甘いものがしみたりする自覚症状が現れることがあります。
象牙質はエナメル質より柔らかいため、むし歯の進行が早くなります。
むし歯の部分を削り、範囲に応じてレジンを詰めるか、インレー(部分的な詰め物)やアンレー(歯の大部分を覆う詰め物)を製作して装着します。
インレーやアンレーには、金属製のものや、セラミック製のものなど、様々な素材があります。
C3:神経まで達した虫歯

むし歯が歯の神経(歯髄)にまで達した状態です。
何もしなくてもズキズキと激しい痛みが生じたり、温かいものが強くしみたりすることがあります。
神経が死んでしまうと一時的に痛みが治まることもありますが、歯の根の先に膿が溜まるなど、さらなる問題を引き起こします。
歯の神経を取り除く根管治療(こんかんちりょう)が必要になります。
感染した神経を除去し、根管内を清掃・消毒した後、薬剤を詰めて密閉します。
その後、歯の強度を補うために土台(コア)を立て、その上にクラウン(被せ物)を装着します。
C4:歯の根だけになった虫歯(残根)

むし歯がさらに進行し、歯の大部分が崩壊し、歯の根だけが残ってしまった状態です。
歯の神経も死んでおり、痛みを感じないことも多いですが、歯の根の先に膿が溜まっていることもあります。
多くの場合、残った歯の根を抜歯せざるを得ない状況になります。
抜歯後は、ブリッジ、入れ歯、インプラントといった方法で失われた歯を補う治療が必要になります。
このように、むし歯は放置すればするほど治療が大がかりになり、時間も費用もかかるようになります。
痛みを感じる前に、定期的な検診で早期発見・早期治療を行うことが、ご自身の歯を守る上で最も大切です。
むし歯の治療方法
むし歯の治療方法は、進行度合いによって異なりますが、大人と子どもでは、歯の特性や治療への協力度が異なるため、アプローチも若干異なります。
大人のむし歯治療
大人のむし歯治療は、患者様の口腔内の状態やライフスタイル、ご希望を考慮して、最適な治療法をご提案します。
1.レジン充填(C1〜C2の軽度なむし歯)

むし歯の部分を削り、その場で歯科用プラスチック(レジン)を詰めて形を整え、光を当てることで硬化させる治療法です。
短時間で治療が完了し、保険適用で費用も抑えられ、見た目も自然です。
2.インレー・アンレー(C2〜C3の比較的大きなむし歯)

むし歯が比較的大きく、レジン充填では対応できない場合に、型を取って製作する部分的な詰め物です。
保険適用
主に金銀パラジウム合金製のいわゆる「銀歯」が一般的です。
強度が高く耐久性がありますが、金属色のため目立ちます。
自費診療
セラミックやジルコニア、ハイブリッドセラミックなど、天然の歯に近い色合いで審美性に優れ、金属アレルギーの心配がない素材も選択できます。
3.クラウン(被せ物)(C3の神経治療後、C4の残った歯)

歯の大部分が失われた場合や、神経治療を行った歯は、歯自体が脆くなっているため、歯全体を覆う被せ物(クラウン)を装着します。
保険適用
金属製(金銀パラジウム合金)、または金属の土台にレジンを貼り付けたもの(前装冠、小臼歯冠)が一般的です。
自費診療
オールセラミック、ジルコニアセラミック、ハイブリッドセラミックなど、天然歯のような透明感や強度を持つ素材も選択できます。
4.根管治療(C3〜C4の神経まで達した虫歯)

むし歯が歯の神経にまで達した場合、歯の根の中にある感染した神経や血管を取り除き、根管内をきれいに清掃・消毒する治療です。
非常に精密な治療が求められ、成功率を高めるためには、マイクロスコープやニッケルチタンファイルなどの専門的な機器の使用が有効です。
治療後には、歯の強度を補うために土台(コア)を立て、クラウンを装着します。
5.抜歯(C4の歯を残せない場合)

むし歯が極度に進行し、歯を残すことが不可能と判断された場合には、残念ながら抜歯が必要となります。
抜歯後は、ブリッジ、入れ歯、インプラントなどの方法で失われた歯を補う治療を検討します。
子どものむし歯治療
お子様のむし歯治療は、永久歯に与える影響を考慮し、なるべく削る量を抑え、フッ素塗布やシーラントなどの予防処置も積極的に行います。
フッ素塗布(初期むし歯・予防)

歯の表面を強くし、酸に溶けにくい歯にする効果があります。
初期むし歯の進行を抑制する効果も期待できます。定期的に行うことが推奨されます。
シーラント(奥歯の溝埋め)

奥歯の複雑な溝は、歯ブラシが届きにくく、むし歯になりやすい場所です。 シーラントは、この溝を歯科用プラスチックで埋めることで、虫歯を予防する効果的な方法です。
レジン充填(C1〜C2の乳歯・永久歯のむし歯)

大人の治療と同様に、むし歯の部分を削り、レジンを詰める治療です。
サホライド塗布(乳歯の初期むし歯)

特に乳歯のむし歯の場合、進行を抑制するためにサホライドという薬を塗布することもあります。 歯が黒くなるデメリットがありますが、痛みなく進行を抑える効果が期待できます。
歯髄保護・生活歯髄切断法(C3の乳歯)
乳歯のむし歯が神経に近接または達した場合でも、永久歯の成長に影響を与えないよう、神経の一部を残す治療法を行うことがあります。
抜歯(C4の乳歯)

乳歯のむし歯が進行して、抜歯が必要になった場合でも、永久歯の生え方に影響が出ないよう、必要に応じてスペースを確保する処置(保隙装置)を行うことがあります。
お子様の治療では、無理やり押さえつけて治療するのではなく、お子様の気持ちに寄り添い、歯科治療に慣れてもらうことを最優先に考えます。
国民皆保険制度と保険治療で使用する金属
日本の医療制度は、「国民皆保険制度」という世界に誇れる素晴らしいシステムによって支えられています。
これは、国民全員が何らかの公的医療保険に加入することで、誰もが等しく医療サービスを受けられるようにする制度です。
歯科治療においても、この保険制度が適用される「保険診療」と、適用されない「自由診療(自費診療)」があります。
国民皆保険制度
誰でも利用できる
日本に住む全ての国民が対象となり、一定の自己負担割合(原則3割)で医療を受けることができます。
最低限の医療保障
病気や怪我をした際に、経済的な負担を抑えながら、基本的な医療サービスを受けられることを保障します。
公平な医療の提供
誰もが等しく医療を受けられるようにすることで、健康格差の是正にも寄与します。
保険治療で使用する金属

歯科の保険治療では、使用できる材料や治療法が国によって定められています。
金属を使用する治療で主に使われるのは、金銀パラジウム合金(いわゆる「銀歯」の主成分)です。
金銀パラジウム合金
メリット
強度が高く、耐久性があるため、奥歯の治療によく用いられます。
保険適用のため、費用を抑えることができます。
デメリット
金属色のため、見た目が目立ちます。
金属アレルギーを引き起こす可能性があります。
また、長期間の使用で歯茎が黒ずむ「メタルタトゥー」の原因になることもあります。
この金属は、保険診療の範囲内で、最低限の機能と耐久性を満たすことを目的として使用されます。
金属を使わないメタルフリーの治療:安心と美しさを追求
近年、金属アレルギーへの懸念や、より自然で美しい見た目を求める声が高まるにつれて、【金属を使わない「メタルフリー」の治療】が注目されています。
これは、保険診療の範囲外となる自由診療の選択肢ですが、患者様のお口の健康と審美性を追求する上で、非常に有効な治療法です。
メタルフリー治療で使用される主な素材
セラミック(オールセラミック)

天然の歯と見分けがつかないほどの透明感と色調再現性があり、非常に審美性に優れています。
金属を一切使用しないため、金属アレルギーの心配がなく、歯茎が黒ずむこともありません。
耐久性も高く、変色しにくいです。
メリット
最高の審美性、金属アレルギーのリスクなし、変色しにくい。
デメリット
費用が高い、強い衝撃で割れる可能性がごく稀にある。
ジルコニアセラミック(ジルコニア冠)

ジルコニアは「白いダイヤモンド」と呼ばれるほど強度が高く、その上にセラミックを焼き付けて作られます。
強度と審美性を兼ね備えた素材です。
メリット
非常に高い強度、優れた審美性、金属アレルギーのリスクなし。
デメリット
費用が高い。
ハイブリッドセラミック

セラミックとレジン(プラスチック)を混ぜ合わせた素材です。
メリット
セラミックよりも費用を抑えられ、レジンよりも強度と審美性に優れています。
デメリット
オールセラミックに比べると審美性や耐久性が劣る、経年で多少変色することがある。
レジン(歯科用プラスチック)

軽度の虫歯治療で、歯に直接詰める保険適用の素材としても使用されますが、自由診療でより高品質なレジンを用いて、審美性を追求した治療を行うこともあります。
メリット
比較的安価、治療が短時間で完了。
デメリット
セラミックに比べると強度や審美性に劣る、変色しやすい。
メタルフリー治療を選択するメリット

審美性の向上
自然な歯の色に合わせられるため、治療したことがほとんど分かりません。
特に前歯や笑った時に見える部分の治療で、美しさを追求できます。
金属アレルギーのリスク回避
金属を一切使用しないため、金属アレルギーをお持ちの方や、将来的に金属アレルギーを発症する可能性を避けたい方にとって安全な選択肢です。
歯茎の健康維持
金属による歯茎の黒ずみ(メタルタトゥー)のリスクがなく、歯茎の健康な色を保つことができます。
生体親和性
セラミックやジルコニアは生体との親和性が高く、歯や歯茎に優しい素材です。
汚れが付きにくい
表面が滑らかでツルツルしているため、プラークや汚れが付着しにくく、虫歯や歯周病の予防にもつながります。
患者様のお口の状態やご希望に応じて、保険診療と自由診療、そしてメタルフリーの治療など、最適な選択肢をご提案させていただきます。
詰め物・かぶせ物治療概要
治療期間 |
1週間~2週間 |
治療回数 |
2回~3回 |
費用(※症状によって金額は変わります) |
インレー |
むし歯は、初期の段階では痛みを感じにくいため、放置されがちですが、進行すればするほど治療が大がかりになり、歯を失うリスクが高まります。
また、お子様の歯の健康は、将来の永久歯の歯並びや全身の成長にも大きく影響します。
当院では、一般歯科として、むし歯や歯周病の治療、入れ歯の調整など、皆様の日常的なお口のトラブルに幅広く対応いたします。
そして小児歯科では、お子様が安心して通える環境を整え、むし歯予防から治療、噛み合わせの管理まで、お子様の成長を見守りながら最適なケアを提供します。
保険診療で基本的な治療を受けられる一方で、より高い審美性や機能性、金属アレルギーへの配慮を求める方には、メタルフリー治療などの自由診療の選択肢もご用意しております。
お口の中に少しでも気になることがあれば、痛みがないうちでも、どうぞお気軽に当院にご相談ください。
定期的な検診と予防ケア、そして早期発見・早期治療が、皆様の歯の健康を長く維持するための最も重要な鍵です。
お子様から大人の方まで、皆様のお口の健康を生涯にわたってサポートできるよう、スタッフ一同、日々研鑽を積んでおります。